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第21話 敵が誰なのか、もう分からない

last update publish date: 2026-10-04 21:27:42

第21話 敵が誰なのか、もう分からない

 午後五時十二分。

 如月蓮は、自宅のダイニングテーブルに置いた端末を見ながら、今日だけで何度目になるか分からないため息をついた。

 七十二時間。

 たった三日。

 世界中で加速し始めた量子AI開発競争を、一度だけ止める。

 蓮が提案したのは、それだけだった。

 三日間で技術問題を解決できるとは思っていない。

 国同士が信頼し合えるようになるとも思っていない。

 ただ、走りながら疑い合う状態を一度止めたかった。

 それすら、半日も持たなかった。

「父さん」

 向かいのソファに座っていた葵が声をかける。

「さっきから同じ画面見てない?」

「見てる」

「十回くらい?」

「もっとかもしれん」

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